土地の相談

境界をはっきりとさせたい!

 土地の登記に関する流れ

image1土地には必ず境界(筆界)があります。土地を売買する場合「だいたいそこら辺まで」と言って売買する人はまずいないでしょう。いつの間にか自分の土地がせばまっていたり、隣の家の塀が自分の庭に勝手に建っていたら誰だって困るはずです。

こんなときには土地家屋調査士が筆界を明らかにすることが出来ます。
土地家屋調査士とは、裁判外で、土地の筆界を明らかにすることが出来る唯一の国家資格です。
祖先から受け継いだ土地の境界(筆界)が分からない、田畑を耕しているうちに誤って境界杭を抜いてしまった、隣の家から、境界がおかしいと言われた・・・等々。
あるいは、今ある境界杭の真正を、後々のために関係者同士で確認しておきたい・・・など。

境界は一人で持っているということはあり得ません。相手方との境を決める物ですから必ず相手がいて、それは当事者同士で平等に管理しなければならない財産として法的に規定されています(民法223.224条)。
境界立会いによって確定した境界について確認書を作成して互いに持ち合うことで済ますことも可能ですが、将来のトラブル回避のためにも地積測量図の作成などをしておくほうがより安心です。

特に分筆または地積更正登記のときには法務局に申請する過程において隣接関係者全員の境界立会いが必要です。

ほとんどの場合は友好的な隣人関係のなかで円満に境界立会いが成立しますが、土地家屋調査士も万能ではありません。境界とは関係ない他のことなどでトラブルがあったりして感情的になっているときなどは、残念ながら境界確認に至らないこともあります。そのようなときには時間をおくか、もしくは別の解決方法もありますので以下に紹介いたします。

 

境界問題解決の二つの制度

筆界特定制度

かつては土地の筆界(境界)について争いが生じた場合、筆界確定訴訟という裁判による解決しかなかったのですが、いまは「筆界特定制度(ひっかいとくていせいど)」があります。
この制度は土地の境界について当事者同士では納得のいく結論が得られない場合などに、境界確定を求める当事者が法務局にその申請をします。すると法務局では所定の手続きを経て筆界特定委員を指名します。(この筆界特定委員の一翼を担うのが土地家屋調査士です。)筆界特定委員は様々な角度から調査・測量を行い、そこから得られる意見を法務局の筆界特定登記官に提出します。筆界特定登記官はこれらの資料や当事者の意見などを基に筆界を特定します。

これが筆界特定制度のあらましです。この筆界特定になお不服の場合は、裁判所で従来の筆界特定訴訟を提起することができます。また筆界特定委員の資料はそのまま裁判資料のひとつとなるので結果的に紛争の早期解決に役立つことになります。

 

裁判外境界紛争解決手続き(ADR)

裁判外境界紛争解決手続(ADR)という制度は、境界についてもめているがなかなか解決しない、だけども裁判までは起こしたくない、という方のために、当事者間に専門家と裁判所が入って話し合いによる解決の手伝いをするというものです。裁判上の「和解」とは違いますが、結果として和解と同じように「話し合いで丸く収める」という形式です。この場合の中間に入る専門家が、所定の手続きを経て登録した認定土地家屋調査士と呼ばれる人たちです。彼らは裁判所や当事者の求めに応じて資料を作成したり助言をしたりしますが、「ここだ」と結論を出すことは致しません。結論を出すのはあくまでも当事者の「話し合い」です。
今までは垣根越しに言い争っていたものを、公的機関が間に入って穏便に話し合いましょう、というのがADRの形といえます。当然話し合いが決裂することもあるので、ここで誰もがトラブルを解決することができるものではありませんが。

 

登記簿の面積は正しい?

登記簿に記載されている面積(地積)は、まさに財産の大きさを数字で具体的に表したものです。
ところがこの地積は必ずしも実際の面積と一致しているとは限りません。単なる勘違いなどの原因もありますが、多くは測量技術の精度が上がったことにより、正確な地積を求めることができることになったことが挙げられます。現在の測量は一昔前の測量技術に比べはるかに進歩していて、数百メートル先でも数ミリの誤差で計測できるほど正確です。したがって、以前の人の目と巻き尺を頼りにしていた測量とは数値が違うのは仕方がないことだと言えます。平成になって一度も測量したことがない土地などは、登記簿と実際の面積が違うことが多くあります。
地積が違っていたって、現に住んでいるところがおかしいわけじゃないし、登記簿の地積に合わせて土地を減らされたり増えたりするわけじゃないし・・・、ともいえますが、やはり、孫の代まで伝える財産なので、一度正確に測量してみることも必要でしょう。 分筆登記などには必ず測量が行われますが、その結果、ほとんどが地積更正登記(登記簿の地積を正しい数値に訂正する登記です)を伴った登記になっています。大きな土地ほど誤差も大きいので、境界確認とともに地積の確認測量もしてみてください。

 

公図には二種類ある?

法務局で公図の写しをもらうと下に「これは地図に準ずる図面の写しである」と書いてある場合と「これは地図の写しである」と書いてある場合があります。不動産登記法第14条で定められた「地図」が整備されている地域では「地図」、整備されていない地域では「地図に準ずる図面」といわれ、これが従来から「公図」と言われている図面として、法務局に置かれています。

「地図に準ずる図面」はもともと、明治時代に税金を取るための資料として作成されました。長い年月を経た今でもそれが法務局に置かれ、追加、削除などの書き加えがひたすら繰り返されて、活用されているわけです。したがって「地図に準ずる図面」は土地の形状、隣地との位置関係などの概略を知ることは出来ますが、地積、距離を正確に表しているのではなく、この図面からそれらを知ることはできません。
対して「地図」というものは、不動産登記法第14条で規定されている、測量及び調査の成果に基づいて作成されたものです。法務局で地図の写しをもらうと「これは地図の写しである」と書かれています。この場合の公図(地図)は許容誤差を持ってはいますが、およその辺長や面積を表しているものと言えます。したがって地図が整備されている地域では、現地で境界杭の位置などがわからなくても許容誤差の範囲で復元することが出来ます。(地図を作った年代が古いと、座標などの資料がない地域もあります)

地図が備え置かれている地域はまだ少なく、多くの地域ではいまだ「地図に準ずる図面」が置かれているにとどまっています。現在急ピッチで国土調査が進められており、地図の作成が行われているところです。地図は、現不動産登記法では「14条地図」と呼ばれています。

 

土地の地番を分けたい、まとめたい!(分筆、合筆)

たとえば、Aさんが所有する土地のうち半分を売ってしまいたいとします。そうすると売り地には別の所有者Bさんが現れます。そんなときにはそこに境界杭を入れて、番地を分ける必要が出てきます。
法律上、ひとつの番地で所有権者が二人以上いることはもちろん可能ですが、それだけではひとつの番地のなかで、どこからどこまでがAさんの土地、ここからここまでがBさんの土地、と明らかにすることは出来ません。やはりAさんの土地はX番地、Bさんの土地はY番地と分けておかないと大変な問題が生じることになるでしょう。このように地番を二つ以上に分けることを「分筆(ぶんぴつ)」と言います。

ひとつの土地に新たに境界線を入れて、二つ以上の土地に分け、そこに新しく地番をつける、という作業になります。土地の一部を売りたい、あるいは親族に土地を分けたい、などのときに必要です。逆に、いくつもの小さな土地をまとめて買った場合など、番地がたくさんあって、土地関係の書類や、相続時の整理に困ることがあります。そのようなときには同じ所有権者であればひとつの地番にまとめることが出来ます。これを「合筆(がっぴつ、ごうひつ)」と言います。

合筆の際には境界立会い確認は不要ですが、分筆の際には(例外もありますが)ほとんどの場合、隣地地権者全員の境界立会い確認が必要です

 

地目変更その他

田畑に住宅を建てたいとき、あるいは私道の位置を変えて住宅を建てたいときなど、土地の利用目的を変える場合があります。土地の利用状況を変えた時には、登記簿の地目をそれに一致させなければなりません。この手続きを地目変更登記といいます。
農地を宅地に変えるには農地転用許可申請という手続きが必要です。農地は国策で守られており、宅地に変更できる地域と農地のまま変えられない地域があります。

 

このほか土地の登記に関して変更、更正(訂正)あるいは不明な点があるときはいつでもお気軽にご相談ください。